魔界姫志ーまかいきしー


「んん…」

いつの間に眠ってしまったのか
私は寝苦しさで起き上がる。

布団に寝転んだ記憶が無いってことは誰かが運んできてくれたんだ…。

左右を見るとルイとユエが起きることなく眠っている。

だけど そこにシキの姿はなかった。

…シキ、どこ行ったんだろう?

私は二人を起こさないように
そっと立ち上がって足音を立てないようにゆっくり部屋から出た。

やっぱり外は暗くて少し寒い。
何か羽織ってくれば良かったかな。

「…あっ…!」

そんな事を思って小さく息を吐いて上を見ればシキが屋根に登ってボーッと空を眺めていた。

大方、シキは眠れないんだろう。

私の声に気付いたのか驚いた表情をするも優しく、見た事も無いような笑みを私に一瞬だけ向けて降りてきた。

…あんな顔するんだ…

心臓がやけに うるさく鳴り響く。
ドクドクと大きく脈打って。

シキが近付く度に心臓の音が
大きくなるような感覚に襲われる。

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