魔界姫志ーまかいきしー


「こんな所で何してる」

そう呟いたシキの声は
いつもと変わらず冷たくて低い。

さっきの表情からは想像出来ない程に。

「たまたま目が覚めたらシキが居なかったから…」

探しに来ました、なんて
素直に言えるわけもなく苦笑いを浮かべてその場を乗り切る。

『貴様も厄介な奴を好きになったな。
己の感傷に浸るのは勝手だが此方に迷惑は掛けるでないぞ』

そんな時に聞こえた声はあの時と同じ
私の持ってる杖から発せられたものだった。

私の脳内にしか聞こえないとか
言ってたくせに何で今喋るのよ…全く。

「…あ?誰だ。
その言葉は俺に向けてか?」

…え!?

シ、シキにも声が聞こえてる!?

嘘、なんで…。

『今は貴様ら二人に聞こえてるはず
我を前に出せ、主よ』

驚く私を無視して杖は一方的に話し掛けてくる。

頭を抱える勢いで仕方なくポケットに入れていた短い杖を出す。

すると、淡く綺麗に光って
まるで私の手の中に星が輝いてるみたいにキラキラと輝きが耐えない。

でもそれは眩しい、と思うことなく
どこか あの時と同じように遠慮したような光だった。

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