魔界姫志ーまかいきしー
「…こいつか」
『主とこうやって話すのは初めてか
我はこの杖に宿りし者。
主ーーユイの力を抑えつつも引き出す為に存在している
神の子、黒石の事は存じ上げている
勿論 貴様の恋路もな』
実態こそはないけど きっと今皮肉な顔して言ってるんだろうな…なんて。
シキも怒ってるのか少し眉をピクリと動かしたけど呆れたように溜め息を吐いた。
「分かってるなら話は早い
俺は必ずーー…あいつらを倒す」
唇を噛み締めてグッと手に力を入れるシキを見てなぜか私が辛くなって。
杖を持っていた事も忘れて
私はその 力の入る手に自分の手を重ね
もう片手はシキの頬に滑らせて身体を近付ける。
「…っ、!?」
そんなシキの驚いたような表情を
無視して私は続けた。
「…シキ、大丈夫よ 貴方は強い
ルイもユエも強いわ。それにシキには
私がついてるでしょう?だから貴方は必ず負けたりしない
私が命に変えても守ってみせる」