魔界姫志ーまかいきしー
子供をあやすように
ゆっくりと言葉を紡ぎながら目を伏せつつも私はシキに笑みを浮かべる。
そのまま数秒間見詰め合うもシキが動揺しながら一歩後ろへ下がってから私は自分の犯した過ちに気付く。
「…あ、あ、あの…
えっと、その…ごめん!!」
慌ててシキから身体を離して
真っ赤になる顔を押さえるも地面へ落ちている杖を勢いよく拾って
振り返らずに走って部屋に戻り、再び布団に潜り込んだ。
わ、私ってば…シキになんて大胆なことを…!!
動揺してた、目を見開いて瞳がユラユラと彷徨っていた。
シキには好きな人が居たのに
私なんであんな行動…杖を落としてたことにも気付かなかった。
…シキしか眼中になかった。
明日から気まずい…どうしよう…
元々 変な女だと思われてたのに今日の事で益々 私が変な女だと思われたに違いない。
私のあの行動を今ここで恨むわ…。
そんな事があった後、眠れるはずもなく私は結局寝ずに出発を迎えることになった。
シキが戻ってきたのはそのすぐ後で
ちゃんと眠りについていた…と思う。