魔界姫志ーまかいきしー


「おはよう、ユイちゃん
よく眠れたかい?気分はどうかな」

「…おはよ、ユエ…眠れたと思いたいけど気分は大丈夫だよ」

あまり眠れたと思わない…
それは多分私だけじゃなくてーー

「シキ、おはよう 大丈夫かい?」

「…はよ。あ、ああ…大丈夫だ」

きっとシキも寝不足だと思う。
それに私達は目が合っても互いに逸らして距離を置いてしまう。

それで二人は何か察したのか
ニヤニヤしながら こっち見てくるし…

抱き締めたわけじゃないけど
キスしようなほど近づいた、なんて

口が裂けても言えない、言いたくない。

多少シキが弄られながらも
朝食と身支度を終えれば皆、真剣な顔つきになって

作戦の見直しを始めてからこの宿屋を後にした。

見送りに来れないオリが居るであろう
あの宮殿の地下を見詰めて「行ってきます」と心の中で呟く。

それに答えるように
優しい夜風が私の頬を掠めた。

まるで「行ってらっしゃい」とでも言うように。

私達が カナさん達を倒すんだ。

それしかもう、方法は残ってない。

この力はまだそんなに使ってないから
彼女達と会うまでなら持つと思う。

まだ、こんな所で私は死ねない。


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