魔界姫志ーまかいきしー
私が聞くより先にシキが一歩前に出て
ミルともう一人の奴を見据える。
赤い髪にウルフヘッド
身長はシキと変わらないぐらい。
一言で表すなら、この人は狼を擬人化したまんまの人だ。
牙もあったし爪も鋭く尖ってる。
服装も黒を基調としてるけど赤が少し混ざってる。
黒石の服装は皆、黒が基調だ…。
「簡単な取引だ
そちらの大切な大切な姫君を
俺達へ渡してくれれば手荒な真似はしない約束しよう」
片手を胸に当て、もう片手を私へと向けて気持ち悪いにっこりした笑顔を向ける彼に悪寒が走る。
「名前を名乗りもしねぇ奴が手荒な真似をしない? 寝言は寝て言えよ」
「おっと これは失敬。俺はヘヴン
こいつは知っての通りミルだ」
…ヘヴン。
やっぱりこの人も黒石の仲間であり
二刀流の凄腕…。
「へぇ…ヘヴンね
生憎だがこいつは渡さねぇよ。
一度俺達が預かり、守ると決めた奴を易々と手渡してたまるかよ」