魔界姫志ーまかいきしー
「っくそ、おい…!!」
シキくんは驚いたように私へと手を伸ばしてくれた。
でも、その手は私の手と交わる事無く宙を舞う。
見えない何かに押される私は崖から身体を投げ出された。
ああ…そうか。
この森を抜けた先は崖だったんだ。
行き場を無くした私の手も宙を舞ったままで。
こんな所で死ぬのか…なんて思いながら私は瞳をギュッと閉じた。
逆さまに落ちる中でシキくんの声が近くで聞こえたのは…夢なのかもしれない。
私の意識はそこから無くなった。