魔界姫志ーまかいきしー
そして、その目の前に広がる光景に息を呑んだ。
小さく綺麗な花がずっと奥まで
咲き乱れている草原に
緩やかな風が吹いていて、まるで
その草花達が踊ってるように
左右にゆらゆらと揺れている。
そして真ん中には一際大きな木が立っていた。
…いや、木というには少し腐っている。
何年、何百年もの月日を経たみたいに所々が黒ずんでいる。
この草原にも見合わない。
緑の葉っぱが付いている訳でもない。
ただ、枯れた大きな樹木が
地面へとしっかり根付いている。
ここは一体何なのだろうか…?
シキの言う寄りたい所はここなの?
だとしたら
ここに何の用があって来たのかな…。
「俺の事を覚えていたら出てきてくれないか?
話がしたい。これから先、お前の力が必要になるんだ」