魔界姫志ーまかいきしー
木の幹に片手を添えて語りかけるシキの後ろをただ黙って見つめることしか出来ない私達に打って変わってシキは何かを決意した瞳をしている。
これからここで何かが始まるのは確かだろう。
<おお…久しぶりじゃないか、シキ?元気にしておったのか。妾をこんな所に隠して何事かと思ったわい>
少し気が強そうな女の子の声が聞こえ、辺りを見渡すけど私達以外に人なんて居ない。
と、言うことは
もしかして もしかしなくても
今聞こえてきた声って…まさか。この木から聞こえてきた!?
いや、もう…ここに来て驚くことなんて無いと思うけど…こんな枯れた木から強気な女の子の声が聞こえることに驚きを隠せない。
<ほぅ?友達でも連れてきたのか。シキに友達とはなぁ…面白うて涙が出そうだ>
「んな事はどうでもいいだろ…つか
とにかく姿見せろよ、こいつらにも紹介してぇし、お前にも一応」
<そうじゃったな、すまんすまん。して、妾を引きずり出してもらえんか? 自分から出られなくしたのはシキだろうに…>
「…ああ、悪い。」
何やら話が勝手に進んでるようだけど
とりあえず、この声の主さんをこの木から出すってことなのは聞こえた。