魔界姫志ーまかいきしー
「…出せねぇんだけど。お前なんか変な魔法掛けたのか」
<いや?妾は何もしておらん。むしろこの中に居たら魔法は使えないはず。そうしたのもシキじゃろ?>
「そうだが現に俺の魔法じゃ出せなくなってる」
2人の話を聞いて私達もシキの隣に並んでみたけれど、どう見ても普通の枯れた木にしか見えないのに…そんなに凄い木なのかな。
ピタリ、と私もシキと同じように左手を添えた瞬間に手のひらへ電流が走ったような感覚に襲われる。
「…っ、これ…」
前にもあった。
自分の髪を触った時に起こったものと似ている。
あれ以来何も見えてなかったから忘れてたけど、この感覚はそれと同じか それに近い何かだ。
<…お主はもしや…!>
女の子の声が聞こえたけど私の目の前に見えるのは何時ものシルエットのみの映像。