魔界姫志ーまかいきしー


『貴公を束縛し、他の者…騎士の魔法では解除できない様命ずる。
無理に魔法を掛ければこの地は崩壊、跡形もなく消え去るだろう

解けるのは神の遣いの言葉のみ』










…これは…過去の事だ。

私達がここへ来る前に誰かがこの地に足を運んでいる。

そして彼女に魔法をかけた。

だからシキの魔法で解けなかった。
と、なると…神の遣い…これは恐らく私の事だと思う。

魔法の解除とか分からないけど、やって見るしかない。

貴方の力を貸して欲しいの、お願いできる?

『容易い御用だ、主の言う事は絶対だからな』

うん、ありがとう。

それじゃあ行くよ?

小さく息を吐いて私は手を添えたまま目を閉じて口を開く。

「汝の封印を解き放つ故に、我らに敬意を示し汝の持つ力をかの者に授けよ。

かの者の名は騎士(ナイト)ーシキー

これは汝と我の契約の元。
認めを示すならば姿を現し我の目を見よ。

…封印解除」

口が勝手にまた動いていく。
片手を添えて、もう片手で杖を持って天高く掲げる。

私の呪文の後に杖の先からは虹色の光が溢れて目の前の枯れた木を纏う。

<…その契約に異論は有りません。
妾の力をその彼へと全て捧げましょう。
神の遣いである、貴方様の命ならば>

何かが割るような音と共に幹の中から小さな精霊が姿を現す。

それを境に枯れていたはずの木に命が吹き還ったのか枯れて黒ずんでいた木に緑の葉やしっかりと巻かれたツルや真っ直ぐに伸びた枝先。

何もかもが なったばかりの大樹 と言うに相応しくなっていた。


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