魔界姫志ーまかいきしー
だとしたら何故シキが知ってるの?
「シ、シキ…ちょっと、何言ってるのよ…突然」
「隠す必要なんかねーだろ。俺達だって薄々は気付いてた。
お前がこの世界の奴じゃ無いことも記憶を取り戻しつつ有る事も。
それをお前が言わなかったのは何か理由が有るからだろうが
大方、その理由も俺達と一緒に居る意味が無くなる、とか言うんだろ お前は」
ルイも、ユエも申し訳なさそうに眉を下げて一つ頷いていた。
全部分かってたんだ、この人達は。
それでも聞いてこなかったのは私の為を思ってたからで。
シキの言ったことに間違いない。
私は怖かったんだ。
今も、その時も、ずっと。
「…ごめんなさい。黙ってるつもりは無かった
だけど…私がこの世界の住人じゃない事も記憶が戻った事も
みんなに伝えたら…一緒に旅をする理由が見つからなくて…
捨てられるのが怖かったの。…本当にごめんなさい!」
勢い良く頭を下げて謝罪する。
もし今、ここで捨てられるようなことがあっても私はもう何も間違いたくない。
今すべき事を最優先にしなくてはならないと思うから。
「んな事だろうと思った」
「ユイさん…私達は一度仲間だと思った人を何の理由も無く捨てたりはしませんよ、大丈夫です」