魔界姫志ーまかいきしー
そう、短く、さも当然のように呟いたベルガの言葉に私は目を見開いて口をぼんやりと開ける事しか出来なかった。
そんな理由で。
この人たちの勝手で気侭な理由ただ一つ、それだけでロイもレイさんも…ううん、もっと多くの人がこの世を去っていった。
いつかシキが言った「 私に力がないから誰も守れなかった 」と。
確かに私に力があれば皆を助けられたかもしれない…だけど、そんな理不尽な理由で死ななければいけなかった人はこの世界にいただろうか?
「 … そんなの、居るわけない 」
私が呟いた言葉も小さく風に乗って消え去った。
「 彼女の覚醒も既に始まっているようにカナ様の覚醒とて、お前より早く始まっている事を頭に入れておくんだな。
——後は城で待っているよ、ユイ 」
それだけ言い残してベルガは颯爽と姿を消し、残された私達は唖然としているだけだった。