魔界姫志ーまかいきしー


私達がここに来るのはわかりきってたことで、まるで手の平の上で転がされているようにスムーズに事が進んでいく。

薄暗い部屋の中を見渡せば両脇には壁画がたくさん飾られていた。

それをまじまじを歩きながら見ればどこか懐かしいような今でも面影のあるカナさんの幼少期の壁画が壁一面に渡って続いている。

産まれた時から、今よりも少し幼くあどけなさを残したその瞬間まで。

「 —— カナ、」

ふとシキが一枚の絵の前で立ち止まり愛おしげに彼女の名を呼んでそっと壊れ物を扱うように触れた。

その声に胸がチクリともしないのは、シキが瞬希くんでは無いからだと自分でケリをつけたから。

シキが触れたその絵は白いワンピースに麦わら帽子被って一輪のヒマワリを持ちながら振り向いて満面の笑みを浮かべるカナさん。

「 …これって、いつの頃なの? 」

頭で考えるより先に言葉に出たそれをシキは幾度と瞬きしてから息を吐いて語ってくれた。


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