魔界姫志ーまかいきしー
「 この世界にまだ光が差してた頃の暑い夏だった。
そして、俺達がまだ——あいつの騎士であいつがこの国の姫君だった頃。
振り向いた先にいるのは俺達だった。
この笑顔をずっと護ろうと決めた瞬間だった。」
全て「 だった 」の過去形にしてるのはシキの中でもケリを付けようとしている証。
でも、簡単に諦めたりできるほど恋なんて甘くはないんだからね。
「 …そう。
それなら私がきっとこの戦いでカナさんを…! 」
また、その日みたいに笑えるように戻すよ。
と言う前に「 いいんだ。さんきゅーな 」と素っ気ない彼の返事が返ってきた。
私が何を言うか分かっての言葉。
それでも私はあなた達のために、自分のために、カナさんのためにみんなを救いたい。
強欲だろうとワガママだろうと知ったことか。
私は、私が大切だと思ったものをこの手で護る。
もう二度と——…誰も死なせたりしない。
「 待っていた、貴様たちを。
さあ早く絶望の間へと来るが良い。」