魔界姫志ーまかいきしー
「 我に集いし邪悪なる混沌の力よ。
その力を我に纏わせ終焉の刻(とき)を 」
手を前にかざして何かを呟きながら口元を緩ませる彼女をじっと見つめていれば黒い光に包まれて辺りに埃を舞わせる。
黒い光の球体が彼女を包み込んだ後、目の前に現れたのはあどけなさを残した少女はどこかへ消え去った背中に悪魔の羽根を背負い頭からは日本の小さな角が生えた——
本当に、悪魔の子そのもののカナさんだった。
「 …っ、 」
突然の変異に私も驚きを隠せないでいる。
私だって今までいろんな魔法を使ってきたけど、羽根とか角とかはさすがに…。
まだ、私も自分の力を使いこなせてないって事だ。
「 この姿を晒すのは久方振りだな。
怖気付いたか?今ならまだ降参しても良いが。 」
確かに、膝は笑ってるし指先だって震えてる。
恐い、怖い…と心では思ってるけど、今更そんなこと言ってられない。
「 ……誰が降参するものですか 」
「 ふっ……それでこそ神の子だ 」
紅く塗られた唇が弧を描いてカナさんは飛んだ。
そう、言葉のままに…生えた羽根を使いまるで自分の身体の一部のように。
… いや、もう既にあの羽根は彼女の一部だ。
バサッと音と共にほんの一瞬で私の前まできたカナさんに防御が間に合わずにそのまま壁へと蹴り飛ばされる。
「——っ、は!!…ごほ、…ッ 」
息が止まる。
苦しい、背中も身体も痛い。