魔界姫志ーまかいきしー

「その様子じゃ覚えてなさそうですね。
昨夜、話をしてからすぐ眠ったらしくて…運んだのはユエですけどね?」

平然と告げるルイさんに私は硬直するしかない。

え、運んだって何?
ここまで運んでくれたのがユエさんって事だよね?

…痩せておけば良かった…絶対重かった…。

でも、そんなこと言ったところでユエさんなら「そんな事無かったですよ」なんて
笑いながら言うんだろうな。

これがシキくんだったら「もっと痩せろ」とか言われちゃうんだろうけど…。

その点ではユエさんで良かったかも知れない。

「…一人で百面相してますよ、ユイさん」

「あっ…すみません…」

「いえ。さて、行きましょうか」


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