魔界姫志ーまかいきしー


そんなことを思いながらも私の手は髪を結び続ける。

頭の上で一つに束ねられた髪は私が動く度に左右に揺れる。

「これなら邪魔にならないかな」

のそのそと立ち上がってドアに手を掛けて扉を開けるとー…

「わっ…!!」

「…っ!?」

目の前には見覚えのある顔。

「シ、シキくん!?」

お互いびっくりして思わず悲鳴をあげた私と驚いた顔のシキくん。

「…遅いから迎えに行けってユエが」

え、私そんなに遅かったのかな。

「ご、ごめん今行こうと」

「分かってる。いくぞ鈍間」

もう!!
シキくんはいっつも一言余計なんだから…全く。


…さっきの事をシキくんに相談してみる?
いや、でも…馬鹿にされたりしたら嫌だし今はまだ誰にも言わないでおこう。

私の気のせいかもしれないし。

< 43 / 284 >

この作品をシェア

pagetop