魔界姫志ーまかいきしー
そんなことを思いながらも私の手は髪を結び続ける。
頭の上で一つに束ねられた髪は私が動く度に左右に揺れる。
「これなら邪魔にならないかな」
のそのそと立ち上がってドアに手を掛けて扉を開けるとー…
「わっ…!!」
「…っ!?」
目の前には見覚えのある顔。
「シ、シキくん!?」
お互いびっくりして思わず悲鳴をあげた私と驚いた顔のシキくん。
「…遅いから迎えに行けってユエが」
え、私そんなに遅かったのかな。
「ご、ごめん今行こうと」
「分かってる。いくぞ鈍間」
もう!!
シキくんはいっつも一言余計なんだから…全く。
…さっきの事をシキくんに相談してみる?
いや、でも…馬鹿にされたりしたら嫌だし今はまだ誰にも言わないでおこう。
私の気のせいかもしれないし。