魔界姫志ーまかいきしー


ロイ…どうして逃げてばかりなの?

…まさか、ロイはただの妖精に過ぎなくてシキ達のように魔法なんて使えない…?

私を逃がすためだけの口実…?

夢と、同じだ。
私が見た夢と同じだ。

ぼんやりとしか分からなかったけど夢の中でこの光景を見た。

二人の人が戦っている光景を。

どとらかが動かなくなる光景を。

まさか、まさか。
この夢はこの事を現していた…?

こうなる事を私は夢で見た…?

「く…っ…」

先程の傷を庇いながら攻撃を交わすロイだったけれど ついに地面に肩膝をついてしまった。

ロイにとってこの戦いも、長期戦も不利でしかない。
攻撃が出来なければ…ロイに勝ち目なんてない。

「弱者は黙って眠ってなよ。永遠に…邪魔しないでよね!!」

ミルが片手を空へ上げる。
そのまま振り下ろすと同時に無数の黒い光のような矢がロイ目掛けて突き刺さる。

「…う゛っ…」

小さな呻き声を上げてロイは力なく倒れてしまった。

「……っ」

嘘よ、嘘よ…ロイが死ぬなんて、嘘に決まってる…!!


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