志麻くんのせい。
奪われたキス
…
「よし、帰ろっと。楓バイバイ!」
楓に手を振る。
なんか、香織ちゃんのおかげで早く帰れる気分。
「おい」
「へ?」
いきなり肩捕まれた。
後ろを見ると…声の持ち主は隣のやつ。
「佐倉くん?だっけ。なに?」
「お前日直だろ」
ふふーん。
「日直代わってもらったもんねーだ」
「は!?じゃ俺も代わってもらう」
え。そしたら、香織ちゃん代わってくれた意味がない。
「だめ。あんたのせいでなったんだからあんたがやってよね」
ちょっと可哀想だけどしーらない。
「…じゃまた明日ね。代わり香織ちゃんだから」
そう言って、私は逃げるように走った。
…急がなきゃ。
あ、もう車来てる。
そして、靴箱をはきかえて玄関を出ようとした。
だが、出ることはできなかった。
そう、誰かに引っ張られたのだ。
「…ちょっと誰か知らないけど離して!」
こっちも引っ張る。
すると、勢い余って床に二人とも倒れてしまった。
「…いたた。大丈夫ですか?」
「俺のせいなのに心配すんのか」
さっきから邪魔してたのはまたもや佐倉志麻だった。
「なんでここに…」
「お前のことが好きだから」
キュン
いきなり、真剣な顔で言われても…。
それに、また私はキュンってしてる。
「香織ちゃんは?」
「なんで香織が出てくんだよ。話聞けよ」
だって。香織ちゃんが可哀想だもん。
この人怖いし。
「ちょっと来い!」
手首を捕まれる。
「い、いや!離して」