太陽の家

タイヨウ

『………バカだな、あたし……』



あの時の、イモ子の表情に……胸が痛んだ。



俺の中の………愛しい痛みが…。


ニートとキャバの一件から２ヶ月がたち、初夏の風が吹き始めていた。

｢ただいまー。遅くなってごめんね」

｢イモ子、遅かったね」

いつもは夕飯前に帰って部屋でもくもく課題をしているイモ子だが、今日はめずらしく帰りが夕飯時だった。

｢うん、夏休み前に展示会があってね。コースごとにみんなで協力して一つの作品作り上げるんだ。そんで今日、その話し合いしてたの」

｢何やるか決まった？」

｢みんなででっかいオブジェ作ることにした」

｢いいなー俺、見てみたいっ」

タイヨウは面白そうに手をあげた。

｢ごめん………うちの学祭、一般公開しないんだ」

｢ちぇ」

｢それでさ、来週から本格的に準備が始まるんだ。個人の作品も作らなきゃいけなくて、これから帰り遅くなると思うんだ。だから……」

｢わかってる。晩御飯、イモ子の分残しておくよ」

タイヨウはイモ子にウインクした。

｢ありがとう」


｢ただいまー……｣