太陽の家
「それに比べ私は………」

「………………」

「わあっ」

ふとニートの顔を覗き込んだら、目がうっすら開いていた。

「ち、違うっ。何もヘンなことは……」

「………………」

いきなりのことに動転しているキャバを尻目に、ニートは起き上がって頭をかいた。

「あの、机の上の封筒…取って」

ニートはあくびをしながら窓際の机をさした。

「封筒?ああ、これ」

机の上には、郵便用の長方形の封筒が置いてあった。

「中、見て」

「?」

キャバが封筒をあけると…。

「夏の北海道…3泊4日の旅…2名さまご招待?」

「うん。仕事場に、懸賞にハマってる人がいてさ。なんかの雑誌の巻末にのってて、その人と一緒に応募してみたら…俺が当たっちゃった」

「…………………」

「お互い、旅行なんか言ってる状況じゃないってわかってるんだけど、せっかく当たったし……」

「ニート……」

ニートは、忙しい中でも、ちゃんと自分達の事を考えていた。

「一緒に、行かない?」

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