太陽の家
「私、夏休み中は実家に帰ろうと思ってるんだけど」

「あー実家、九州だっけ?」

「うんその間…留守にするけど」

「いいよ。イモ子がいないと、さびしくなるけどね。ユキ」

ユキは思い出したように"あっ"と言った。

「俺とこいつも、来月旅行行く」

ユキは自分とクモをさして、ご機嫌に言った。

「え、どこ行くの?」

「パリ」

クモがぼそっと答えた。

「いつ?」

「8月の……9日から」

「えー俺、一人ぼっちじゃん」

タイヨウはつまらなそうに口を尖らせた。

「キャバとニートいるじゃん」

「あいつらも9日から旅行いくって」

「「ええっ」」

ユキとイモ子は声をそろえて驚いた。

口には出さなかったが、クモもわずかに目を見開いている。

「どこに?」

「確か…北海道だったかな。昨日、チケットが届いてたから。最初、本名できてたから誰宛かわかんなくて、何となくニートのっぽかったから、聞いてみたらビンゴだった。懸賞で当てたらしくて、キャバ誘って行きたいって」

「キャバはOKしたのかよ?」

「今、ニートが誘ってるところだと思うよ。キャバも、行くでしょ」

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