太陽の家
「へー」

ガチャ…

リビングのドアが開き、皆が振り返ると、そこには顔を真っ赤にしたキャバが立っていた。


次の日。

「ただいまー…」

授業が終わり、イモ子が帰ると、家の中はしんとしていた。

「みんないないのかな」

リビングのドアを開けると、中のソファでタイヨウは寝ていた。

「めずらしー……」

(タイヨウが寝てるとこ、初めて見たかも)

窓の隙間から入る初夏の風が気持ちよかった。

イモ子はタイヨウの寝顔の隣に座り、顔を覗き込んだ。

「?」

(寝顔もだけど、タイヨウがこんな風にスキを見せるのは……初めてな気がする)


最初の頃は、タイヨウが一番話しやすくて、他の住人は何だか入り込めなかった感じがしたが、色々あって住人のことはだんだんわかってきた気がする。

今は、タイヨウが一番スキがない気がする。

あまり自分の素性を話さないし、出身地も、家族も、誕生日すら言わない。

聞いてみたこともあるが、はぐらかされた。

なんとなく、踏み込まないで、と距離をとられてる様な……。


ピピピピ……

< 114 / 176 >

この作品をシェア

pagetop