太陽の家
ユキは参ったように、両手で顔を覆った。

「やっぱりか…」

「まさか気づいてなかったの?」

「……ずっと、タイヨウだと思ってた」

「タイヨウはイモ子が好きだと私は思うけど、イモ子は…」

クモが、口を開いた。

「俺も、そう思ってた。けど、違う気がする」

「違うって?」

「タイヨウは……イモ子じゃないと思う」

「なんで?」

キャバも、タイヨウはイモ子が好きだと思っていた。

「いくらなんでも、好きな奴の首を絞めたりしないだろ」

「そりゃそうだけど…」

しばらく経つと、手術室のドアが開き、タイヨウが運ばれてきた。

「タイヨウ!」

3人はタイヨウに呼びかけたが、タイヨウは気を失ったままだった。

「検査の為、別室に移します」

看護婦にそう告げられた3人が振り返ると、執刀医らしき医者が立っていた。

「先生、タイヨウは……?」

「命に、別状はないのですが……まだ詳しい検査をしてみないと」


イモ子が目を開けると、病院の天井が写った。

「イモ子?」

「………キャバ」

丁度、病室に入ってきたキャバと目が合い、キャバは安心した顔を見せてくれた。

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