太陽の家
「イモ子」

タイヨウの声だとわかったが、イモ子はタイヨウの顔を直視できなかった。

「ごめんね」

「……ううん。気に、してない」

気にしてない、と言いながら、イモ子の声は震えていた。

タイヨウのこと、許せない訳じゃないのに、涙が出そうになってきた。

ガラッ

いきなりドアが開き、ユキが入ってきた。

「あ……おそろいで。遅れて悪い」

ユキの手には、ビニール袋が下がっていた。

「ユキ……」

ユキの顔を見て、少し安心したイモ子はユキに微笑みかけた。

しかし、ユキはイモ子を一瞥して"おっす"と言っただけだった。

「……………?」

いつものユキなら、イモ子が声かけたら"元気かー?"とか、何かしらリアクションしてくれるのに………今日のユキは、何だか素っ気なく感じた。


「で、タイヨウ、話って?」

イモ子イモ子とユキの気まずい空気を読んだキャバは、話題を変えた。

「ああ……」

ニートとクモは、イモ子とキャバに、二つしかない椅子をゆずってくれた。

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