太陽の家
"愛してる"なんて、重い響きは、何だかタイヨウに不釣合いな気がした。

「彼女とも別れて、暴走族みたいな集団と付き合ったり、もう死んじゃえーなんてノリで生きてたら、妹が嬉しそうに……つき合うことになったって報告しにきた」

「……それでも、絶えるしかなかった。彼氏の事も、何か嫌いにはなれなかったし」

(タイヨウ……)

「でも」

「あの日、体調悪くなって、バイト早退して家に戻ったら……妹と、友達が……見ちゃったんだ、愛しあってるとこ」

「…………!」

(私と、同じだ……)

イモ子も、現場を目撃した訳ではないが、隣の部屋から不自然なベッドの音と、ユキの声を何度か聞いている。

その度、胸が張り裂けそうで、涙もでなくて、何も手につかなくなる。

耳をそらすこともできず、ただ、何もせずに、その行為が終わるのを待っていた自分…………。

「その日から……頭が真っ白になった。」

「気がついたら、俺は…………」

続きを聞くのが、怖い。

「俺は………妹の大事な人を……刺してた」

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