太陽の家
昨晩、時間を決めて一人ずつローテーションでタイヨウをみると話し合っていたから、必ず誰かはいるだろうが。

(キャバはいいけど……クモだって、クモと私とタイヨウなんて気まずいしな……)

「ふう……」

イモ子はため息をついた。

(ヘンなの……)

最初は、キャバとクモが苦手で、ユキとタイヨウが打ち解けて話せる存在だったのに……何だか立場が逆になっている気がした。(クモは相変わらずだが)


(……タイヨウがああなる前あたりが、一番楽しかったな。ニートも仕事見つけて、キャバも優しくなってきて………)

イモ子がタイヨウの病室の前に行くと、ちょうど病室の前にユキとクモが立っていた。

「「あ………」」

一瞬、目があったが、ユキとイモ子はすぐにそらした。

「じゃ、俺………行くわ」

ユキはクモに軽く会釈して、その場を去って行った。

「…………………」

すれ違っても、イモ子とユキは一言も話さなかった。

(泣きそう……)

イモ子は足が震えてきた。

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