太陽の家
『お兄ちゃん、何か知ってるの?!』

『……うん』

『教えてよ』

『和久を刺して捨てたのは……』

『…………俺だよ』

あんな事、言わなきゃよかった。

和久に勝てるわけないって、わかってたのに。



タイヨウは、一人で涙を流した。


『……ごめん、すぐ追い出された』

「いえ、こちらこそ…ごめんなさい」

『一応、あなたの名前は伏せておいたけど…』

「……多分、私だってバレてると思います」

宮子に連絡をしたのは、イモ子だった。

『とりあえず、病院には私の連絡先教えておいたけど……あなたは、これからどうするの?』

「……昨日、考えたんですけど」

『………………』

「タイヨウの妹さんに、会おうと思って」

『えっ…』

「直接会って、タイヨウに会うようにお願いしたいんです………連絡先、知ってますよね」

絶縁状態のタイヨウはともかく、叔母の宮子は知ってるハズだ。

『…知ってるけど、あの子は……もう、夏生を拒絶してる……』

強引に引き合わせようとすれば、出来ないこともないが……宮子はあの二人がもう分かり合えるとは思えず、しなかった。

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