太陽の家
『二人とも、働いてるから…うまく会えるかわからないけど』

『二人?』

『そう、二人とも』

『え?二人って……妹さん、と』

『雨くんよ。当時、つき合ってた人。言わなかったっけ?結婚してんのよ』

『え?ええ?雨くん……タイヨウの友達で……あれ?死んだんじゃ??』

イモ子は混乱した。

『夏生から聞いてない?夏生に刺されたけど、一命はとりとめたのよ』

(聞いてない……)

『じゃあ、もう店開けるから。わからないことあったらメールして』

そのまま通話を切られてしまった。


「……そうですけど」

青年は、訝しくながらも答えた。

「あっ…あの……ふ、冬美さん…いらっしゃいますか?」

「多分もう帰ってますよ」

雨は、ドアの鍵口に鍵を差し込み、回した。

「おかえりー!!」

ドアを開けるなり、いきなり中から女性が飛び出し、雨に抱きついた。

「!!!」

「フミ!人いる…」

抱きつかれた雨は少し息苦しそうにイモ子を指差した。

「え……あ!ごめんなさい」

イモ子の姿を見た冬美は、恥ずかしそうに雨から手を離した。

「…………………」

三人を気まずい沈黙が包んだ。

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