太陽の家
「……雨の、知り合い?」

冬美は雨の腕に手を絡ませ、尋ねた。

「お前のじゃないの?」

どうやら、雨は冬美の名前を出されたことで、冬美の友人だと思ったらしい。

「あ、違います。すいません……私は………」

「?」

「私、は……」

タイヨウの名前を出したら、二人はどんな顔をするのだろうか。

しかし、その名前を出さなければ…話は進まない。

「……夏生さんの、同居人、です」

「………………!」

二人は、目を見開いた。

「……お兄ちゃんの、彼女……?」

「ち、違います。夏生さんが、大家してるアパートに住まわしてもらって…私以外にも何人かいるんですけど」

同居人と聞いて、恋人と勘違いされてしまった。

「……そんなこと、してたんだね」

冬美は雨の機嫌を伺うように、視線を送った。

雨は小さく"ん…"と答えた。

(大家してたことも………知らなかったんだ)

「……それで、用件は」

雨に聞かれ、イモ子は意を決した。

「…夏生さん、倒れたんです」

「?!」

< 154 / 176 >

この作品をシェア

pagetop