太陽の家
イモ子の言葉を遮るように、冬美が口を開いた。

「え?」

「お兄ちゃんは明るくて……太陽みたいだねって」

冬美は複雑な顔をした。

「………………」

「明るくて…いつも楽しい気分にしてくれるんですけど、時々、なんか……悲しそうな目をするんです。最初は、わからなかったんですけど……今思えば、きっと冬美さんたちのこと……考えてたんだと思います。だから…………」

「わかりました」

冬美は答えた。

「じゃあ……」

(やった………)

「あなたの気持ちは、わかりました。でも……会うことはできません」

「えっ……」

「兄から聞いたと思うけど、兄は一度、私の一番大切な人を傷つけました」

そう言いながら、雨の腕に回した手に力をこめた。

「はい………」

「兄の事、嫌いになった訳じゃないです。自分を犠牲にして、私を……育ててくれた」

「…………はい」

(嫌い…じゃない?それなら……)

会っても、いいじゃない…。

「ただ……憎んでます」

「………………」

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