太陽の家
「許せないし…許したいとも思いません」

「フミ………………」

冬美は雨の肩に顔をうずめた。

「…………………」

「雨…さんも、許せませんか」

イモ子は雨を見つめた。

「……………雨」

「……………………正直、わからない」

「…………………」

危害を加えられた雨より、冬美の方が腹を立てている様子だった。

(………雨さんが、行きたいって言えば……冬美さんも)

「雨さん、ダメですか?」

「……俺も、山瀬は嫌いじゃない。けど…………」

「けど……?」

「会ったところで、話すことはない。あいつが俺を襲ったのは事実だし」

それは、そうだ。

イモ子も実際のところ、タイヨウが雨をどう想っているかがわからない。

(冬美さんの事は……好きって言ってた、けど)

♪~

「あ……」

雨のケータイが鳴った。

「……悪い、仕事先から」

雨は二人に背を向けて受話を押した。

「仕事?」

(そういえば、何の仕事してんだろ)

「コーチやってるんです。ここの近くのサッカーチームの」

イモ子の心を見透かしたかのように、冬美が教えてくれた。

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