太陽の家
「もう、パパはママのだって」

「子供に妬くな」

雨は呆れた顔をした。

それでも、楽しそうな3人の姿に、イモ子は置き去りにされた気分になった。

「…………………」

(タイヨウは……この姿を見て、どう思うんだろ)

あの調子だとしたら、素直に祝福はできないだろう。

でも……………。

「手紙、でもダメですか…」

「え?」

「会ってくれ、とは言いません。ただ…………」

タイヨウに、何かを伝えたい一心だった。

「………………」

相変わらず、二人は複雑な顔だ。

「私……一晩待ちます。明日の朝、アパートのポストまで、取りにいきます。手紙も嫌だったら、何もいれなくていいです。もし……手紙ならって思ってくれたら、いれて下さい。私、必ず届けます」

イモ子は深くお辞儀をして、その場を立ち去った。

(勢いで、明日も行くことになっちゃった…。泊まるとこ、探さなきゃ)

しかし、冷静に考えたらお金がないので先ほど時間をつぶした漫画喫茶に戻ることにした。

< 159 / 176 >

この作品をシェア

pagetop