太陽の家
熱い。


タイヨウの家が燃えている。


「はあ……はあ……」


『消防車呼んでー』

遠くから、消防車のサイレンの音が聞こえる。


「あっ……くう」

「山瀬さん、どうしました?」

丁度、巡回の看護婦がタイヨウの異変に気がついた。


……燃える。


「……熱い」

「先生、来てください!山瀬さんの容態が急変しました!」


『雨がふるとき、太陽はみえないんだよな……和久』

『別に、お天気雨とか……』

『何か中途半端じゃん、あれ』

『…………山瀬』

『ん?』

『お天気雨って、狐の嫁入りらしい』


「………………」

タイヨウが目を開けると、窓からは陽の光が指していた。

「おはようございます、山瀬さん。調子はいかがですか?」

看護婦はタイヨウに挨拶すると、点滴に薬を注入した。

「俺……?」

「昨晩、すごい熱をだして、肺炎おこしかけたんですよ」

「え、俺が?」

(風邪なんて、生まれてから一度もひいたことなかったのに……)

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