太陽の家
「ふう」

タイヨウがため息をつくと、いきなりテレビに電源が入った。

「え……?」

(俺、今スイッチいれたっけ?)

確かに、リモコンは手元にあったが、スイッチが入るほど、手に力は入れてない。

(てゆうか、力が入らない……)

『昨夜の午前1時ごろ、岡沢にあるアパート〝太陽の家〟が全焼しました。近所の人が火があがっているのに気づき、急いで119番通報して、救急隊員による消火活動で火は1時間後にけされました。』

「なに……?」

イモ子が山口に泊まった夜の出来事だった。

「昨日、キャバとユキとクモはバイトで、ニートは勤め先の人達と飲みに行っててたんです。それで、家には誰もいなくて、みんな無事だったんけど……」

ずっとケータイの電源を切っていたせいで、火事を知ったのは帰りの新幹線の中だった。

『そう………』

イモ子の話を聞いて、宮子はため息をついた。

『結局、冬美は来ないって?』

「………はい」

『そう………火元は?わかったの?』

「警察の調べだと、放火の可能性が高いって」

『わかった。私は今から病院向かうから、またね』

「はい」

イモ子は携帯の電源を切って、警察所へ向かった。

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