太陽の家
警察では、一人一人事情聴取され、全員が終わるころには、お昼が過ぎていた。

「あーねむ……」

昨日の夕方から一睡もしていないユキとクモとキャバは疲れきっていた。

「どこかで……寝てきたら?とりあえず私、学校行くね」

「イモ子は……実家には電話した?」

「まだ……」

イモ子は少しうつむいて、ケータイの電源を入れた。

「あ、メールだ……」

"夏生が病院からいなくなりました 電話ください 宮子"


「え……?」

イモ子は急いで宮子に電話をかけ直した。

「宮子さん、電話遅れてごめんなさい。タイヨウ、いなくなったって?」

『そうなの。病院内にはいないみたい』

「宮子さんいま病院?」

『タクシーの中よ。いま、太陽の家に向かってる……あ、運転手さん、そこ右』

「わかりました。私も、そっちに向かいます」

イモ子が電話を切って振り返ると、みんなが不安顔でこちらを見ていた。

「イモ子、タイヨウいなくなったの?」

「………うん。たぶん、太陽の家にいると思う」

「俺らも、向かうか。クモ、車出せる?」

「でも、みんな疲れてるし……宮子さんもいるから、大丈夫」


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