太陽の家
思わず、宮子の名前を出してしまった。

「……宮子って誰?」

「タイヨウの……叔母さん」

「何でそんな人がイモ子と知り合いなの?」

「……タイヨウの着替えとか持ってくために、一度、タイヨウの部屋に入ったの。そしたら……宮子さんのケータイ番号が書いた紙が落ちてて」

最初は、興味本位だった。

「勝手にかけたの?」

「うん。それで、会って……話した」

「その人は、タイヨウの妹さんとのコトとか……知ってんの?」

今度は、ユキに聞かれた。

「うん……全部知ってたって。ごめん、黙ってて……隠すつもりはなかったんだけど……私……このままじゃ、タイヨウに何もしてあげられない気がして」

「……怒っては、ないよ」

しかし、キャバは少し複雑な顔をした。

キャバも、自分の過去を清算したくて、自分の人間関係を絶ってきた。

「まー俺らもこのままじゃ心配で寝られないし、太陽の家に向かうか」

「おう」

「ユキ……クモ」

イモ子は嬉しそうな笑顔を見せた。

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