太陽の家
「タイヨウの花……焼けちゃった」

「それより、中だ」

4人は玄関にはいり、まずリビングに向かった。



「……………!」


その光景を見て、4人は言葉を失った。

全身土まみれで、血を流したタイヨウがそこに"あった"

床には、手首を切って流れた血でかかれた単語があった。

どこかの……人通りの多い街の中……。

夏生は、ただ一人………そこに歩いていた。


目の前には、見慣れたアパートの螺旋階段があった。

誰か……降りてくる。

「冬美」

その名を呼ぶと、冬美は階段から降りて、こちらに微笑みかけてくれた。

それだけで、泣きたい気持ちになった。

「山瀬」

後ろを向くと、雨が立っていた。

「和久……」

雨は、血まみれだった。

「……………」

「お兄ちゃんが、やったんだって?」

冬美は笑いながら顔をのぞき込んできた。

「…………そう、だよ」

これは、夢か現実なのか。

「まだ生きてるじゃん、留めさしなよ」

「え……?!」

冬美は笑って、包丁をさしだしてきた。

< 166 / 176 >

この作品をシェア

pagetop