太陽の家
「キャバ……ごめんね」

「……何が?」

「タイヨウの親戚呼び出したの……黙ってて。ごめんなさい」

イモ子は深く頭を下げた。

「……いや、いいよ。結果的に良かったし。私もさ、一度、地元戻ろうかと思って」

「え?」

「家、あんなんなったし。やっぱり友達とかにも、ちゃんと状況説明しないとなって。まあ、落ち着いたら……秀也と、暮らそうかと思う」

「秀也って……ニート?」

(いつのまに……名前で呼んでたんだろ)

「そう。新居、決まったらメールする」

「うん。よろしく」

「…イモ子は、どうするの?」

「しばらくは……友達の家とかに泊まらせてもらう。一人暮らしのコとかいるし」

キャバはすくっと立ち上がった。

「イモ子って…本名なんだっけ?」

「本名?由希だよ」

「私、由希みたいなコ、苦手だけど、由希のことは、嫌いじゃないよ」

"嫌いじゃない"と言いながらも、キャバの顔は、初めて告白をする中学生かのように真っ赤だった。

それを、イモ子は嬉しく思った。

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