太陽の家
「また、落ち着いたら連絡してね」

「おう」

ユキは手を振りながら踵を返した。

「あとさ」

「?」

イモ子の言葉に、ユキは振り返った。

「……幸せにね」

「…………………………おう、由希もな」

そう微笑みかけて、祐太は玲一と一緒に去って行った。



『そういえば、私もユキってゆうの』

『え?あんたはイモでしょ?』

『いや、あだ名じゃなくて、本名は上原由希なの』

『ああ、本名か……』


もう一人のユキ。

確かに、私はあなたが好きでした。

両思いには、なれなかったけど、どうか幸せに、幸せに、幸せに、、、、




3ヶ月後。

どこかの田舎町に、ひっそりとたたずむ一軒家があった。

その窓際で、一人の少年が椅子に腰かけて、外を眺めていた。

その少年の目は、すでに、光を宿していない。

「夏生―」

家の玄関から、自分の名を呼ぶ声が聞こえた。

「なに?みやちゃん」

「由希ちゃんから、テープ届いたけど、聞く?」

「うん」

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