太陽の家
(それって…なんか違法ぽいけど)

「じゃあ…君の部屋、案内するね、イモ子」

男は由希……もといイモ子の肩に手を回して、階段を上がった。

「あ、あの……」

「なに?」

「あなたの名前は?」

「俺?俺はね、タイヨウ」





『タイヨウの家』

一見は、普通の一軒家。

そこの一階は管理人、二階は住居人の個人部屋となっている。


トイレ、風呂は共同だが、1階が男子風呂と男子トイレで、2階が女子風呂と女子トイレだ。

最寄の駅から徒歩15分くらいで、家賃はその時の管理人の機嫌によっても左右されるが、基本的には4万ぐらいだ。

イモ子は、その家賃につられた。


「タイヨウ?本名?」

「だから、ここでは本名なんてどうでもいいんだって……親が勝手につけた名前に、何の意味があるの?」

「え……」

「あ、イモ子の部屋ここね。6号室」


キイ………

ドアを開くと、ベッドと机以外何もない、質素な部屋だった。

けれど、一人で暮らすには、充分すぎる広さだろう。
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