太陽の家
「見つーけた」

背後から声が聞こえて振り返ると、そこにはユキが立っていた。

「……ぷ」

突然のことに目を丸くするクモを見て、ユキは噴出した。

「イモ子の言う通りじゃん。わかりやす……」

「………なにが?」

「いや、留守電聞いてさ、イモ子とタイヨウと俺で、クモがどこにいるか考えたんだけど」

笑いをこらえながら続けた。

「イモ子が漫画とかみたいに思い出の場所とかにいるんじゃないって言ってたから来てみたけど、本当にいるからさ。おかしくて(笑)」

クモはユキに笑われても、ポーカーフェイスを崩さずに聞いた。

「……どうやって来た?」

この辺は町のだいぶ外れに位置していて、最寄り駅からでも車で30分はかかる。

「タイヨウが車出してくれた」

「……あいつ、車持ってんの?」

「おう。いつもお前の車のとなりに止まってる車あったじゃん。あれ」

「………あれ、タイヨウのか」

(……ピンクの塗装がしてあって、趣味悪ぃなと思ってたけど)

「クモ、俺…お前に嘘ついてた」

「え?」

「知り合いの業者の…引っ越しの営業の仕事してるって言ってたけど、嘘」

「!!」

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