太陽の家
次に、クモが変な顔をして階段を上がってきた。

「あ、クモ」

「見たことない奴がいたけど」

「ニートだって」

「あれが?」

二人とも、ニートとは初対面らしい。

「あ、コンタクト見つかった~部屋戻るね」

そのスキにイモ子はコンタクト見つけたフリをして、すぐに部屋に戻った。

部屋に戻った瞬間、涙が滲んできた。



辛い。


ツラい。



(でも、キャバやニートやガムだって……ツライんだ)



(それに比べたら………私のなんて………ちっぽけだよな………)


コンコン

病室をノックして入ると、キャバはすやすやと寝ていた。

点滴が効いたのか、顔色も良くなってる。

「…………………」

キャバを起こさないように、ニートはベッドの近くに置いてある折り畳みイスに腰かけた。

「変わらなきゃ…………だな」

ニートは俯いて、ぼそっと呟いた。

「ん…………」

「ごめっ………」

キャバを起こしたかと思って謝ろうとしたが、キャバは寝返りをうっただけで、眠っていた。

「ほ………」

「……ひろ……」

「ん?」

「ひろたか………」

そう呟いたキャバの頬を、涙が伝った。

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