太陽の家
ニート
キャバが目を覚ますと、隣のイスでニートが寝ていた。

「あんた………」

上体を起こそうとすると、違和感を感じ、手元を見た。

そこには、ニートの手が重ねられていた。

「あ、ごめん………寝てた」

ニートは目を覚まし、パッと手を離した。

「……どう?調子は?」

「……のど渇いた………」

キャバの声は、少しかすれていた。

「あ、俺なんか買ってくるよ。何がいい?」

「………ポカリ」

「じゃ、行ってくる。ちょっと待ってて」

そう言って病室から、ポカリを探しに行った。

とにかく何かしてやりたかった。

「ごめん。遅くなって……」

ポカリを買ってキャバの病室に入ると、ベッドの上で体操座りをしているキャバがあった。

「コンビ二で売り切れてたから、外の自販機まで買いに行ってた」

ポカリを受け取りながら、一言呟いた。

「……あたし、何か言ってた……?」

「え?」

「寝てる間………何か、言ってた?」

「ああ……その」

寝言を盗み聞きしてたと公言するようで、ニートは少し言いづらかった。

「言ってた?」

「ヒロタカって…」

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