太陽の家
「まあ、キャバも冷たいけど、これが現実だって」

「ちょっと、タイヨウ…」

「いいんだ、イモ子。本当のことだし」

そうは言っても、ニートの笑顔には無理があった。

「…………………」

「てか、クモ、そろそろ仕事の時間じゃない?俺もだけど」

ユキは自分の腕時計を指差した。

「そうだな」

クモも時間を確認すると、支度を始めた。

「じゃ、俺ら仕事行ってくるから」

「ユキの仕事って……」

「居酒屋。今日、初出勤」

「そか。頑張って」

「おう」

イモ子のエールに、ユキも笑顔で返した。

ユキ達が行って、リビングにはイモ子とニートとタイヨウが残った。

「…………………」

ニートは黙ってリビングを出て行き、階段を上がっていった。

「ニート…………」

イモ子は助けを乞うように、タイヨウを見た。

「ほっとけば」

「そんな、タイヨウってば」

「いずれは、ニートが自力で解決しなきゃいけない問題なんだからさ」

「そう……だけど」

結局、そのまま何も話さずにお風呂に入って就寝した。

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