太陽の家
その晩。

「おっはー♪」

「またお前か」

またもクモのバーに現れたタイヨウに、クモはため息ついた。

「そんな顔すんなって。今日は、スペシャルゲスト呼んだからさ」

「……?」

タイヨウの言葉に顔を上げると、入り口からユキがこちらへ向かってくるのがわかった。

「……バイトは?」

「もう終わった。初日だから、早いんだ」

どこか、ご機嫌なユキはタイヨウと並んで、クモの前のカウンター席に座った。

「……タイヨウ、何のつもりだ?」

「いや、タイヨウじゃなくて俺が誘った。クモの仕事してるとこ見てみたかったし」

「そーそー」

「…………」

クモはタイヨウに対する警戒心を解いてはなかった。

「………イモ子は?」

「ああ、あいつ明日学校だしさ」

ユキは出されたつまみに手をのばした。

「まあ、今日は男だけで語り合いましょうぜ」

「俺、仕事中……」

「てかさ、二人はニートとキャバ、どう思う?」

当然のクモの抗議をさえぎり、ユキは本題を話した。

「んー……二人とも若いなって思う♪ユキは?」

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