太陽の家
「あー……えと、タイヨウは、好きな子とかいないの?」

さすがに、動揺したユキは、思いつきでタイヨウに質問してみた。

「…いるよ」

「いるんだ!どんな子?」

「それは言―えないっ」

タイヨウは少し照れたように、自分のグラスを飲み干した。

「いいじゃん。その子とは、どうなの?」

「んーめっちゃくちゃ片想いだね。彼女、好きな人いるし」

「えー!それは、その子から聞いたの?」

「うん」

少し酔ったのか、タイヨウは大きく頷いた。

「それでも好きなんだ」

「…うん。じゃ、俺そろそろ行くわ」

時間を確認したタイヨウは席を降りた。

「ちょっと、タイヨウ。俺も帰る」

「ユキはクモといてやれ」

タイヨウなりの気のきかせ方か、いつものようにニカっと笑って出て行った。


「……また勘定払ってないし」

「あ、今日の分は俺が払うよ。てか、俺何か怒らしちゃったかな?」

一度立ち上がったユキは席に戻った。

「……いや、お前の気にすることじゃない」

「……うん………タイヨウの好きな子、誰だろ?」

「さあ」

(そんなん、あいつしか思い浮かばない)

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