太陽の家
「どうしたの、イモ子。寒いのに」

「何か、眠れなくて……誰もいなかったから、少し不安になっちゃって」

「ああ……そっか。ごめんね、一人にして」

「ううん、タイヨウの謝ることじゃ……?」

次の瞬間、イモ子はタイヨウに抱きしめられていた。

「タイヨ………?」

「ごめん、少し………このまま」

お互いしゃがんだまま抱きしめられたので、ひどく不安定な体勢だったが、そんな事も言ってられなかった。



「おはよ、イモ子。今日早いな」

リビングをのぞくとタイヨウの姿はなく、代わりにユキとクモが向かい合ってコーヒーを飲んでいた。

「おはよう。二人こそ、早いね」

いつもの朝は、寝坊して焦りながら家を出るイモ子とすれ違いに二人は帰ってくる。

「昨日は、クモが早上がりだったから」

「そっか……タイヨウは?」

「寝てる。昨日の深夜、俺とタイヨウでクモのバーに行ってって…まだ眠いらしい」

「そうなんだ。だから、あんな遅く帰ってきたんだ」

イモ子は自分の戸棚からマグカップを探した。

「あ。イモ子起きてたの?」

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