太陽の家
いくら気をつけていても、100%防げないことは、高校の保健体育で習った気がする。


待合室に戻ると、数人の妊婦さんが、楽しそうに話していた。

中には、旦那さんを連れている人もいる。

「…………………」

外を出ると、キャバは胸が苦しくなった。

(なんで……私は、あんなことを…………)

幸せそうな妊婦さんたちを、全員、本気で殺してやりたくなった。


こんな自分が嫌だ。

でも、自分をこんな自分にしたのは……。


自分だ。


「………………」

キャバは、何かに取り付かれた様に、屋上へ向かった。


屋上には、洗濯物を干している看護婦さんや、息ぬきにきている患者さんが数人いた。

周りを見渡して、人目につかない場所を探した水道タンクで日陰になっている場所を見つけた。


屋上にかかっているアミは、結構高い。

何とかよじ登ろうと、アミに手をかけた。

「ダメだ!!」

後ろから誰かに抱きすくめられ、ひきずりおろされた。

「あんた………」

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